俗・偽恋愛小説家

著者 :
  • 朝日新聞出版 (2016年8月5日発売)
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本棚登録 : 298
感想 : 36
3

夢センセによる独自解釈が、童話を穢すとか貶めるとか言われても全くもって理解出来なくて、むしろぼやぼやしたある意味取るに足らないとも言える曖昧なものを、しゅんっとした価値あるきれいさに生まれ変わらせてくれるように感じてしまって
でもなんか、性格が悪い的なことをことごとく言われているので、わたしも大概らしい。。

とりあえず夢センセ本人も美しいつもりで言っているらしいので、だよねー!となった。
感覚を共有出来る訳がない、食い違わせずに共同体験として括ろうとすれば当たり障りない感想に終始せねばならない、細かい分析まで始めたら結果的に相手の底の浅さが透けて別れ話に発展しかねない、とかいう考え方も、最大級にうあー!となった。
なんて明確な言葉……。凄くしっくり来る……。
(「底の浅さ」とされちゃうといかにも性格が悪い……)
でも夢センセ、月子のことは「別れ話に発展」しないんだ。ふふ。

涙子のことだけじゃなく咄嗟に基本姿勢として受け取ってしまった「簡単に嫌いになることなんかできない」発言は、ちょっと結構意外だった。
でも納得もする。何だかんだ人間嫌いじゃない感じ。

優しいとか優れた人間性とか言われても、聡は、自分に都合の良い欺瞞を感じてしまってだめだったなあ……。
……性格が悪いからかなあ。
でもなんかすごい警戒させるし。。こわいって、裏あるって、というオーラがすごい。

一巻があんなだったし、電話の声の時点でそれにはあっさりと気付いたけれど、涙子の扱いが中々にえげつなかった。
気付く前は、かなあ……、いくらなんでもイケメン無罪にも限界があるぜ?と思うちょっとしたきもちのわるさがちらほらとあって、あああ……となった。
自分と周囲をモデルにして、平然と相手目線含む(偽)恋愛小説を書いちゃう時点で、ある程度はお察しなんだけど、
それを利用した月子関連の駆け引きはふつうに見守れるんだけど、可愛くもあるんだけど、
まあその短所が、人間味だとは思う。しかたない。(なんだかんだ良い意味で)

月子が夢センセの作品を見当外れに受け取って、それを彼に当たり前のように「わかりにくい」「信じられないくらい丁寧に書かないと最近の読者は」などと言えるのは、何というかちょっと不思議だ。
とても自分基準。ある程度読書量があるからこその自信……?いや今回は、現実と合わせて結構、たぶん、わかりやすかったぞ……?自分事だとやっぱり難しいのかなあ。
夢センセはわかって欲しい、でもわかって欲しくない、みたいなわざとさでやっていそうだし(恐らく)良いんだけどもっ。
全く面倒くさい男である。……ちょっと褒めてる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2020年
感想投稿日 : 2020年7月6日
読了日 : 2020年7月6日
本棚登録日 : 2020年7月6日

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