ジャパネスクでおなじみの氷室先生の初期短編集。
アマゾンのユーズドの価格がすごいですが、100円であったので読んでみました。
表題作をはじめ4つの短編が載っていますが、70年代に書かれているので
かなり「丘の家のミッキー」を思い出す部分も。
表題作は特に昔を匂わせます。
子供をマニュアルに当てはめ、そこから外れる子はその子の言っていることに
一理あっても除外しようとする…
椎名誠先生の自伝的著書「犬の系譜」で、飼い犬「パチ」を先生が勝手に
「ポチ」に添削していたという憤慨ものな話を思い出しました。
自分のころや今はもう少しおおらかだと思いたいですが…
とはいえある程度社会に順応するのも必要であり、
学校はそれを学ぶ場所でもあるわけで…
なんともいえない気持ちになりますねぇ。
この話がダントツよかったです。
併録「アリスに接吻を」と「誘惑は赤いバラ」は10代前半の背伸びが
甘酸っぱいほど出てます。
その背伸びが子供っぽく見えることには意識が回らないのが微笑ましい。
微笑ましいと思うようになったら年をとったなですが…
大人にならなきゃと奮起しないと成長できない場合も、
勝手になってしまう場合もあり、難しいところであります。
もう1本の「妹」はすごくしんどかった。
大好きな「文学少女」シリーズの暗い部分だけ切り取ったような話でした。
愛し方・愛情の表現は愛を受けていないと上手く表現できないのに、
憎しみ・嫉妬は教わらなくても出てしまうせつなさがとても辛い。
そういう意味でも不器用さで逃げず親父さんがまずは一歩踏み出してほしいもの。
本編でも「優しい言葉が1つだけでも欲しかった」とあります。
- 感想投稿日 : 2009年12月1日
- 読了日 : 2009年12月1日
- 本棚登録日 : 2009年12月1日
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