職業としての学問 (岩波文庫 白 209-5)

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社会学の泰斗、その晩年の講演。

端的にまとめられた学問を取り巻く状況や今日的な意義、そして私たちのとるべき態度といった内容から、(本人は拒否するだろうが)学者でもあり、教師でもあり、指導者でもあったウェーバーの偉大さに感心するばかり。

世界が魔術から解放されたとき、再び神々があい争う時代に(神話は啓蒙であった、啓蒙は神話に退化する―アドルノ=ホルクハイマー)、安易な救いや啓示をもたらす救世主や預言者はいないし、それを無理やり地上に甦らせるわけにはいかないと説くウェーバー。
学問に従事する人々だけでなく、リキッドモダン(液状化した近代―ジグムント・バウマン)に生きる私たちすべてが、価値判断の脅迫から距離を置く態度を教えてくれている。

もうひとつの講演とあわせて、その時その場で、ウェーバー自身の肉声で聞きたかった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2019年1月16日
読了日 : 2019年1月15日
本棚登録日 : 2017年7月3日

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