自動車の社会的費用 (岩波新書 青版 B-47)

著者 :
  • 岩波書店 (1974年6月20日発売)
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現実の社会問題と経済学の理論とが、斬り結ぶさまを学ぶことができた一冊。

自動車という、それなしには考えられない事柄に対しても、批判理論を展開し、同時に理論的な枠組みを越えた社会規範についても論じられている。

社会経済における自由と公正に関する議論では、”応益負担””応能負担””応分負担”それぞれの方法の適応が課題となっている。最適な解はおそらく一つではないし、また、不変とも限らない。常に社会的な議論と合意形成の努力が必要であろう。

その際には、本書で示されているような、実際の課題を正面から論じる勇気、その理論と規範とを論じる知性が欠かせない。

今日、自動車に関して、新たな技術的、社会的状況も生まれている。どのように論じることができるだろうか。Jane Jacobs『アメリカ大都市の死と生』も合わせて参照したい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2019年2月3日
読了日 : 2019年2月3日
本棚登録日 : 2017年7月1日

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