明治維新後に北海道に入植した和人とアイヌの民の話。
文明と文明が出会うとき、多数派、科学文明の力の強い方が相手を押潰してしまう。これまで何度も繰り返されてきた。
語り部である由良の言葉にある「もっと深い恐れか憎しみか、何かとても暗くて嫌なものがあったような気がする。姿と言葉の異なる人に対する恐れと憎しみ。人間の心の中に棲むいちばん忌まわしい思い」これが人の心の中にある限り、これからも起こるのだろうか。
アイヌの民と牧場を開き、共に生きた宗形三郎の生きざまに人としての理想の姿を見る。
だからこそ結末があまりに衝撃的で哀しい…三郎のこともアイヌの民のことも。
けれどこれが現実なのだろう…つらい。
アイヌの民の気高さ、自然と共の生きる思想の深さが伝わってきた。
熊の神が語った「大地を刻んで利を漁る所業がこのまま栄続けるわけではない。いつかずっと遠い先にだが、和人がアイヌの知恵を求める時が来るだろう。神と人と大地の調和の意味を覚える日が来るだろう」それが生かされる時が来るのでしょうか。
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- 感想投稿日 : 2020年3月30日
- 読了日 : 2020年3月20日
- 本棚登録日 : 2020年3月30日
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