〈大幸福じだい〉悲しみや後悔がない時代。
いいじゃない?
これは、そんな時代が終わり悲しみが戻ってくるまでの物語。
小5夏お盆、ハジメはおばあちゃんの田舎で最後のゆうれいネムに出会う。
ゆうれいがいなくなったのは、悲しみを手放したことで、亡くなった大切な人を思い出さなくなったからだという。
ネムに導かれながら、ハジメと托鉢坊のゲンゾウ、動物保護活動家のミャオ・ター、それぞれが大切な人たちを思い出す。過去の大きな悲しみと共に。そして、ハジメも。
後悔を伴う悲しみは苦しい。思い出したくない。悲しみは人を壊すこともある。
そんな辛さを味わっても〈忘れない〉そのことを選択したみんなの気持ちに胸が締め付けられた。
登場人物や物語展開はユーモアさえ感じられるのに、訴えてくるものが深い。けれどその言葉はどこまでも優しく、美しい。
西村ツチカさんの挿し絵がまた良い。
単純に描かれているネムの存在感が曖昧でゆうれいらしく(って見たことないけど)、表情や仕草がなんとも愛らしかった。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2021年6月20日
- 読了日 : 2021年6月8日
- 本棚登録日 : 2021年6月20日
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