一次式という切り口で「役に立つ数学」をめぐるドラマについて、著者の専門である数理計画法やそのうち金融工学にも言及された応用数学(OR)の概略と歴史・人物像を織り交ぜた誠に内容満載の本である。
数学史の本は巷に数多あるが、応用数学については躍動感のある歴史を語れる人は意外に少なく今野浩先生が第一人者であると思います。
既に、『[[ASIN:B000JA1X3E 整数計画法とネットワーク・フロー (1975年)]]』を古書で20年以上前に入手していたが、その翻訳の裏話が書かれているとは恐ろしい。この本はなんと初版500部限定であったそうです。おまけにそこで述べられていたアイディアが時を経て、非常に重要な役割を演ずるあたりの記述には感銘を受けました。
その他にもOR分野における超天才や、奇人・変人の逸話が満載です。
後半は感動ものです。特に応用数学を関心を持った高校生や大学生には一度手に取ってほしい一冊です。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
数学: 読み物
- 感想投稿日 : 2013年1月8日
- 読了日 : 2013年1月8日
- 本棚登録日 : 2013年1月8日
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