ビジネスする上での教養として哲学が有効であることを説く本書。「人」「組織」「社会」「思考」の四つのキーワードに哲学の代表的テーマを分類し、要するに、の形で説明。わかりやすく、各哲学者の提唱した時代背景も踏まえたうえで今日日的な効能についても解説。この本を軸に各者の単行本、解説本に進んでいくためのブックガイドも巻末に掲載。
テーマの中で心に残ったこと
・”悪の陳腐さ”/”認知的不協和”
”悪の陳腐さ”
ナチスドイツのユダヤ人虐殺計画の主導的役割を果たしたのはあまりにも普通の凡人だった。ハンナアーレント曰く「悪とはシステムを無批判に受け入れることである」
”認知的不協和”
朝鮮戦争で捕虜になった米兵は短期間のうちに共産主義に洗脳。共産主義を礼賛するメモと引き換えに小さな報酬を受けること、その落差からくる「不協和」に合わせる形で自分の考えが変わる、洗脳されることになった。社会的圧力等から、あとからつじつまを合わせる形で合理化するのが人間。
前職で、業務のいそがしさにかまけ小さな嘘をつきはじめ、次第にその思考が当然になっていったことを思い出し、そうならないために、どうすればよいか。考えることをやめず、前提、社会とシステムを疑う勇気をもつ必要があるな、と。「エルサレムのアイヒマン」を読みたくなった。
”反脆弱性”
脆弱性は外的ストレスによって崩れてしまう意味で、その反義語「外乱や圧力によって、かえってパフォーマンスが高まる性質」
不確実な社会の中で頑強に見えるものを積み上げていくのでなく、ストレスのなかでどのように生きていくか、しなやかな気持ちとキャリアを築きたいと思った。
ほかにも”フロー”や最近よく目にするキーワードも多数。これらのエッセンスを自分なりに理解し、自己啓発するのに便利な本である。
- 感想投稿日 : 2019年2月3日
- 読了日 : 2019年2月3日
- 本棚登録日 : 2019年1月20日
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