さくっと読むつもりが思いのほか読むのに時間を要した。
1949年冬から1951年春頃までの作品から、1952年に谷川さん自身が選んだ作品たち。
それに加え「自註」「私はこのように詩をつくる」「私にとって必要な逸脱」「自伝風の断片」「自筆ノート」が収録されていて、詩の理解を更に深めることが出来た。
音読するときっと気持ちよさそうな、独特のリズム感を持つ生き生きとした、みずみずしい言葉たちはしかしはじめから最後まで、「絶対的な孤独感」に包まれている。
18歳でこんな詩を書いていたなんて驚きだ。
丁寧な丸文字で書かれた自筆ノートからも少年の人となりを垣間見ることができるし、巻末の、編集者の山田馨さんの解説による新進詩人の誕生のエピソードも読み応え十分だった。
今の、自在に言葉をあやつる大詩人である谷川さんにして『二十億光年の孤独』の少年像は絶対に書けないであろうとここで山田さんが記している。
谷川さんの辛かったその時期、その瞬間だからこそ生まれた「静かな明るさのなかに、生きることをよろこぶ少年がいる世界」。
裏表紙からは英語に翻訳されたものが読めるんだけど、英語がなんのこっちゃ分からなくても、字を追うだけで自然に英語教材のリズミカルで美しい英語が聞こえてきてしまうような静謐さ。
なんだかよく分からないんだけど、どうしようもなく心を掴まれて仕方ない、時間をかけて何度もゆっくりと読みたい詩集。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年9月3日
- 読了日 : 2022年9月3日
- 本棚登録日 : 2022年8月5日
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