決して奇を衒っている訳でなく、素朴で誠実な、美しい文章でした。
ある1人の定年直後の男性を取り巻く人達(本人も含む)の多視点による展開。
1人目の堀田の視点からの始まりも引き込まれました。
ファンタジーに分類されると思うのですが、登場人物はそれぞれが訳ありであったり、不思議であったりするのですが全てに非常に体温を感じる、現実味があり、終始じんわりと暖かな読み心地でした。
畳み掛けるような最終章は胸がどんどん熱くなるのを抑えられませんでした。
なんの先入観もなく読み始めたのですが、全ての人が素敵で、設定としては突飛だったのかなとあとから思うところもあったのに、あまりにも自然に心に響き、染み入り、これまで味わった事の無い満たされた、幸せな、前をむこうと思える読後感でした。
カバーのイラストも読後に見るとさらに素敵に感じたし、出てくる全ての名も無き人たち、風景、時代、地下鉄、それぞれがまるで目の前に存在するかのように身近に感じられました。
峰子、児島さん、マダムネージュ、入江静さん、
文月、節子、かっちゃん、トオル。茜、タケシ
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2021年3月12日
- 読了日 : 2021年3月12日
- 本棚登録日 : 2021年3月2日
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