(No.12-60) 待ってました!完結です。
『全てを置いて出奔したフミ。奇跡のように出会えた楊建明(山村)に何とか馬賊の仲間にしてもらおうと、置いていかれそうになっても必死でくらいついていく。主を失って生きる気力をなくした馬・ショールガ。乗りこなせたらやると言われ、閉ざした心を解きほぐそうとしたがショールガは反応しない。自分とショールガを重ね絶対に救いたいと思うフミは、荒野をさまよう。ついにフミに心を許してくれたショールガ。フミは馬賊に受け入れてもらう。』
きれいな着物を着て舞を舞う生活から、一転して馬賊です!なぜここまで過酷な世界に飛び込んじゃうのか、フミは。
与えられたものでは満足できない、どんなに苦労しても自分の道を進みたいという飢えのようなものを抱えているんですね。選んだのが山村と共にあることなのか。
それにしても今まで馬賊という言葉は知っていたけれど、内情を知ったのは初めて。相当凄まじいやつらだわ。なんとなく馬賊にロマンを感じていたのですが、それはこの小説で叩き潰されたな。
ストーリーとはそれほど重要な関連はないけれど、この巻でハルビンの学校のことに触れていたことが私には嬉しかったです。身内に関係者がいるので・・・・。
国策によって作られた外地の学校。大陸で日本を背負ってたつ人たちを育てるはず、実際育てた学校。
第二次大戦後、帝国大学は国立大学となって存続しました。でもハルビンにあった学校はそのまま消滅してしまったのです。仕方ありません、侵略の先鋒を担ったのですから。
須賀さんはハルビンのことをずいぶんきちんと調べたのですね。それほどは知られていない学校のことを、取り上げるくらいに。
怒涛の馬賊生活の果てに訪れたのは?ほう、そう来ましたか!あの人でも、あっちの人でもなく、彼だったの・・・。
終章では落ち着いた生活のフミです。これがファンタジー小説ならめでたしめでたしというところですが、これは実際の歴史を背景にした小説。私たちはその後を知っています。
これ、完結編なんですよね。だけど、その後どうなるんだろう。したたかに生きぬくとは思いたいけど。わあ、心配だわ。
かなり分厚い本なんですが、どんどん読みました。面白かった!
- 感想投稿日 : 2012年8月9日
- 本棚登録日 : 2012年8月9日
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