面白い。
前作の短編集「パーキーパットの日々」よりもさらに面白く印象深い話が多い。
なかでも、この短編集の中で個人的に一番のお気に入りであり、自分がフィリップKディックという作家を忘れることができなくなった話が「人間らしさ」だ。
~~~~~~~以下、後書きより引用~~~~~~~
「人間らしさ」
わたしにとってこの作品は、人間とはなにかという疑問に対する初期の結論を述べたものである。この物語を書いたのは1950年代だが、その頃と比べて、私の観点はそんなに変わっていない。あなたがどんな姿をしていようと、あなたがどこの星で生まれようと、そんなことは関係ない。
問題はあなたがどれほど親切であるかだ。この親切という特質が、我々を岩や木切れや金属から区別しているものであり、それは我々がどんな姿になろうとも、どこへ行こうとも、どんなものになろうとも、永久に変わらない。私にとって、人間らしさはわが信条だ。願わくは、それがあなたの信条でもありますように。
~~~~~~~~~引用終了~~~~~~~~~
SF作家の考え方だろうか?とかく派手なテクスチャや荒唐無稽なストーリー展開などに目がいってしまいがちな作家だけれど、なにより、人間に対する素朴な、愛着のある考え方が背景にあるこういった文章を読むと、この人の他の作品もまた、ちがった目線でみえてくる。
ええ話じゃないか・・・
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2010年12月14日
- 読了日 : 2010年12月14日
- 本棚登録日 : 2010年12月14日
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