レコーディング・ダイエット決定版 (文春文庫 お 29-2)

著者 :
  • 文藝春秋 (2010年1月8日発売)
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本棚登録 : 271
感想 : 38
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 『いつまでもデブだと思うなよ』の改訂版。内容的には微々たる範囲の改訂だが、『いつデブ』後の発見や追加情報が追記やコラムの形で書かれている。
 ただ、残念なのが、『いつデブ』の第1章・第2章の部分が削られていたこと。確かに、レコーディング・ダイエットについて知りたい人にとっては、『いつデブ』の第1章・第2章は無駄な部分なのかも知れない。
 しかし、ダイエットに限らず、この手のノウハウ本というのは、テクニックだけを書けばおしまいという訳ではない。巷間に溢れかえるビジネス本のほとんどが、第1章・第2章辺りに現状の分析や「なぜこのテクニックをマスターすべきなのか」が書かれている。それは、読者のテクニック習得へのモチベーションを形成し、テンションを上げるための導線として必要だからである。
 『いつデブ』は本書に比べてそういう面が非常に良くできていた。著者自身の成功体験を語り、肥満と現代社会の関係について「現代は"見た目至上主義"である」ことの説明、そして巷間溢れるダイエット法を分析しつつ、やっと第3章からレコーディングダイエットの説明が始まる。しかも、かなり段階を追って丁寧に説明してある。
 『いつデブ』は、単なるダイエットノウハウの紹介というのを越えて、一つの流れ(物語と言って良いかもしれない)ができていた。本書にはその部分が削られており、レコーディング・ダイエットの方法論を説明しただけになっている。私は、このカットはダイエット本としてマイナスだったと思う。

 また、『いつデブ』の紹介で少し触れたが(http://booklog.jp/users/tomiyadaisuke/archives/1/4106102277)、レコーディング・ダイエットは半年から1年かけて生活習慣を変えていくというものである。だから著者はリバウンドは原理的に起こらないとしている。
 しかし、半年から1年で生活習慣が変わったということは、同じくらいの時間をかけて生活習慣が元に戻ることだって十分あり得るわけである。残念なことに、著者も現在はある程度体重を戻している(それは著者の最近の写真や映像からも明らかであろう)。
 しかも、レコーディング・ダイエットは筋肉など落としやすいものから落としていくため、食生活が戻ってリバウンドしたときにもう一度はじめても以前ほどの効果を得ることができない。一度目のレコーディング・ダイエット開始時よりも基礎代謝量が少なくなっているからである。
 レコーディング・ダイエットに成功したら、どこかのタイミングで失った基礎代謝分の筋肉をつける必要がある。体が軽くなったタイミングで運動を始めるのが良いと思うが、レコーディング・ダイエットのこのような性質を無視して「運動は必要ない」というのは正直オススメできない。

 本書だけでもレコーディング・ダイエットは可能だが、なるべく『いつデブ』を先に読んでから本書を読まれることをオススメする。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2012年8月29日
読了日 : 2011年6月7日
本棚登録日 : 2011年6月7日

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