時代は昭和初期と明治維新の時を行き来する珍しいタイプの歴史小説。
アメリカのイエール大学で日本史を教える60歳の准教授が戦争に突き進む日本に警鐘を鳴らしていたが、効はならず歯がゆい想いをしていた。
そんなときになぜ、日本はこのように心なく無茶を押し付けるような国になったのだろうと思案した時に明治維新そのものに原型があったのではないかと思うようになる。
それをテーマにした書籍を書こうとするが、内容は学術書でなくて、小説とした。そしてテーマは青年期に対立した父の若き日々について。
彼の父は二本松藩の若き侍であり、江戸幕府側として戊辰戦争に参加していた。
その若き父が見たのは、薩長が旗を振る新政府軍の横暴で、勝てば官軍を地でいくような人道を無視したやり方であった。
絶望的な戦いに身を置くことになったが、最後、人としての義を貫かんとした藩の侍達の最後と、昭和初期の政治的暴走を相互に描いている。
今まで、勝った側の視点しかしらなかったが、世の中には勝った側がひた隠したい、不都合な事柄というのはあるのかもしれないと思った。
更にもしかすると、それが現在の問題の原型になっているかも。。
なにかを考えるときに、片方だけの視点に終始する危険性を感じた。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2018年7月8日
- 読了日 : 2018年7月8日
- 本棚登録日 : 2018年7月8日
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