ユング心理学入門

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  • 培風館 (1967年10月1日発売)
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感想 : 63
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河合隼雄先生が生涯取り組んだユング心理学についてわかりやすいように説明されている。
専門的な内容ながら小説のような実例が出てきたり、河井先生の優しさと思慮に裏打ちされたコメントがあるので、どんどん先を読みたくなる。

心理学を学ぶ学生向けに書かれている教科書的な書籍ではあるが、自分はなんだ?心とはなんだ?と疑問を持つ人には読んで損はない本だと思う。

さすが教科書というだけあり、個人的には自己啓発本20冊くらいの得るものがあり、良い本だった。

ユングが探求したのは人の意識に上っていない無意識の領域であり、中には荒唐無稽に見えるような理論もあるが、それが実際の臨床の場を通じて出てきているのはとても意義深い。

物理学では量子力学が幻想が現実のようになっているが、ひょっとして人の心もそうなのかもしれない。

トピックス
1.心の現象学
2.フロイトとアドラー
3.タイプ
4.コンプレックス
5.個人的無意識と普遍的無意識
6.心像と象徴
7.夢分析
8.アニマとアニムス
9.自己
10.心理療法の実際
11.東洋と西洋の問題

読んでいてよく出てきたのが、表出している自我・意識とは対をなす特質の存在。
それは抑圧も無視も出来ず、困ったことに制御も出来ない。
だから認識して、対立し、統合していかなくてはいけない。ということ。

また、口酸っぱく 理解した気になる事、知性で説明することを咎めている。あくまで感情を伴う経験でならねばならぬと。。

この本を読むと良くも悪くも ジャッジメンタルな決めつけが出来なくなる。

非常に得るところが大きい本でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2020年12月6日
読了日 : 2020年12月6日
本棚登録日 : 2020年12月6日

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