1940年代に書かれたノーベル賞作家による名著。
舞台は1940年代のフランス領アルジェリアのオラン市。
平和な街に突如、ネズミの異変が起こり、それをきっかけにペストが街を飲み込む。
その凄惨極める街の中で生きる人々を、リウー医師を中心に描く。
出てくる人物は
・ただひたすらに隣人に尽くそうとする医師。
・市街にどうにか逃れて恋人に会いに行こうとする新聞記者。
・普段は浮かない公務員だが、危機において自分の役割を果たす壮年の男。
・風来坊のような青年が危機においては誰よりも強く、問題に当たる。
・社会に絶望していた男が、社会が絶望した途端元気になる。
など多彩。
ペストという危機状況において起きる理不尽。そして炙り出される人の弱さと本当の欲求。しかしそれでも誠実で献身的であろうとする人の強さを描いている。
現社会でもコロナウィルスによる肺病という危機的疫病が蔓延し、似たような状況に世界が陥っている。
たしかに人の弱さとそれでも人と自分に対して誠実で献身足らんとする人の強さは見えている気がしている。
しかし現実でも小説でも、疫病に善なる人が奪われる不条理は割り切れるものではない。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2020年6月20日
- 読了日 : 2020年6月20日
- 本棚登録日 : 2020年6月20日
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