小銭をかぞえる (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋 (2011年3月10日発売)
3.67
  • (61)
  • (129)
  • (101)
  • (22)
  • (7)
本棚登録 : 1122
感想 : 133
5

同棲した女性が、ぬいぐるみ心酔し、徐々にそれが煩わしくなり主人公と口論、暴力へと発展し最終的には女性が大事にしていたぬいぐるみを引き裂き無残な結末を遂げる「焼却炉行き赤ん坊」と、自費出版の経費が必要となり、同棲した女性の父から金を借り、更には旧友からも金をせびる「小銭を数える」。両作とも無残な結末を迎えることになるが、女性への暴力、そして自分の描いている通りに行かず、苛立つ主人公の描写は素晴らしい。人間だれしも、暴力的な要素を持っているだろう。それを包み隠さず綴れる作者の敬意を表したい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2016年12月31日
読了日 : 2016年12月31日
本棚登録日 : 2016年12月31日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする