「深夜特急」に触発された若者たちが、海外へと向かった。その記録がこの本です。小林紀晴は新聞社のカメラマンを経てアジアへ向かい、そこで出会った日本人たちにカメラを向けます。自分を探すために旅へ出た若者たち。はっきりとした目的もなく、きちんとした計画があるわけでもありません。日本でそれぞれ壁にぶつかり、自分の生き方に疑問を持ち、その答えを求めて旅に出た人たち。小林は、そうした異国の日本人を、すこし客観的な立場から撮り、彼らの声を拾います。
アジア6カ国で出会った若者たちは、小林に青臭い哲学を語ります。不完全で、自分中心で。でもなんとなく暮らしていける日本から出て、必死で毎日を生きている彼らには、そんな理屈では説明できない説得力があります。
小林のスタンスは、決してアジア大好き! とは言えません。どちらかというとアジアの国々に対しても、そこにいる日本人に対しても、ちょっと距離を置いた感じがあります。それだけに百般のアジア本にはない客観性が、読む側にも伝わってきます。
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- 感想投稿日 : 2011年6月20日
- 本棚登録日 : 2011年6月20日
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