果しなき流れの果に (ハルキ文庫 こ 1-1)

著者 :
  • 角川春樹事務所 (1997年12月1日発売)
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本棚登録 : 1062
感想 : 104
5

正直なところ未だによくわからないところも多い難しい作品だけど、
それでも、とにかく圧倒されるほどの名作と言わざるを得なかった。
「時空間の逸脱を可視化」という到底人には不可能なことがこの小説では出来てしまった。と書いて良いだろうか?自分の読みの浅さが露呈してしまいそうだけど。
恐竜の時代から始まり、現代と未来が等質に交錯していく。
現代と過去と未来が交錯し、地球の同胞が別々の星に連れられ、時空を管理するものが現れ…。
野々村、マツラ、二人の人間の魂が惹かれ合う後半はとてもドラマチックだった。
野々村が徐々に加速したり、マツラが階層を昇華していく様は、『幼年期の終わり』で地球の破滅を見せられるみたいだったし、
最後のほうの超生命との対話は難しくて頭が混乱しつつも爽快な感じがした。
時の流れの果て、果しなき流れの果に、待っている穏やかな時間、そして邂逅はこの作品の強烈な余韻を残す。
…実を言うと、何度か断念して、もう一度読み返してどうにか読めた作品でした。
時系列も少し混乱したし、登場人物がごっちゃになる、本を読み慣れていない自分には描写が分かりにくいところがあった。
ただそれでもなお、この作品の評価は100点満点中90点を超えると言わざるを得ない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年7月17日
読了日 : 2020年7月17日
本棚登録日 : 2020年2月9日

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