今、最も輝いているTOPクリエーターの一人である、佐藤可士和の実の奥さんでもあり、またマネージャーでもある悦子氏がいた本。これまでの主要なプロジェクトの製作過程やエピソードなど、佐藤可士和の仕事の裏側を垣間見ることができる。こうしたTOPクリエーターでも、やはり飛び込みのようなファーストコンタクトをとったしすることがあるという場面が、幼稚園のプロジェクトの中で描写されており、なんだ、我々の日常とおなじようなこともあるんだ、と安心感を覚えたりする。
佐藤可士和が希有な才能を持つ優秀なクリエーターであることは間違いないが、悦子氏の存在があってこそ、その才能をいかんなく発揮できていることが本書を読んで良くわかる。クリエーターが、そのクリエイティビティーを十分に発揮するためには、創作活動に100%集中できる環境が必須であり、悦子氏の役割はそれが何であるかを見つけ出し、それに向けて必要な解決策を考え出すことである。悦子氏は、それを十分に理解し、マネジャーとして、また経営者として秀逸であることが本書を通じて判る。
クリエーターだからといって、ビジネスとして期待される作法やお約束をないがしろにすべきではないという、悦子氏の一貫した姿勢は、佐藤可士和の価値をここまで高めた要因の一つだと確信する。作品やアウトプットが、クリエーターの作り出す価値の全てではなく、ビジネツの場面においてはその過程やコミュニケーションもその価値の中に小さくない割合で含まれるはずである。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ビジネス
- 感想投稿日 : 2018年10月8日
- 読了日 : 2009年4月25日
- 本棚登録日 : 2018年10月8日
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