かぐや姫「どうして結婚が絶対なの?」
おじいさん「…(え?考えたことなかった)…」
的な会話を繰り広げちゃう、SF作家でショートショートの神様たる星新一さんの手になる斬新な竹取物語。
星版のかぐや姫は。
五人の求愛者どころか、育ててくれたおじいさんとおばあさんに対してさえ、少しクール…というか、「地球人の価値観よくわからないんだけど…」なところがあり。
平安古典の認識に惑わされていたけど。
考えてみれば、かぐや姫って月から来た、いわば宇宙人だから、実はものすごいSFファンタジーの主役。
この着眼点は、さすが星さん。
章の合間合間に星さんのちょっと皮肉で冷めた感じのする見解が織り込まれており、純粋な現代語訳というよりは、星流解説書といった仕上がり。
なかでも興味深かったのは、星さんが竹取物語の構成力や展開力にたびたび言及していた点。
この視点は、希代のストーリーテラーだった星さんらしいと言えるかもしれません。
訳文としてそのまま受け取ることはできませんが、巻末に原文が丸々掲載されているので、読み比べるのも楽しかったです。
そういえば、森見登美彦さんも竹取物語を訳してらしたけど、当然ながら、全く違う趣きです。
星訳と森見訳をじっくり読み比べるのも面白いかもしれません。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
古典
- 感想投稿日 : 2020年7月4日
- 読了日 : 2020年7月4日
- 本棚登録日 : 2020年7月4日
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