1979年に岩波市民講座でおこなわれた講演をもとにした本です。日本の中世史に社会史的な視点をとりいれた著者の関心の中心であったテーマについて、わかりやすく解説がなされています。
著者は、「百姓」ということばが、中世以前には農民だけでなく平民身分の者を広く意味していることに注意をうながし、「日本人」という民族は稲作を中心とする歴史をあゆんできたという理解をくつがえします。そのうえで、中世の平民たちの負っていたいた年貢・公事にかんする事実を明らかにして、彼らの生活の実態にせまっています。
さらに職人の多彩なすがたについてもとりあげられており、東国と西国の職人のありかたのちがいや、差別とのつながりといった、著者の中世史研究における重要なテーマについての目くばりもなされています。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
歴史・地域・文化
- 感想投稿日 : 2021年11月23日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2021年11月23日
みんなの感想をみる