織江の歌が、芸能事務所のプロデューサーの耳にとまり、彼女は東京へ出て歌手をめざすことになります。信介も東京へもどり、大学生として生活を送りますが、緒方たちの影響を受けて、しだいに左翼運動にのめり込んでいきます。こうして、二人の距離はしだいに離れていくことになり、信介はすさんだ心をもてあますようになります。
そんななか、信介の所属する運動家たちのグループの女子学生が、対立するグループのスパイであったことが発覚します。彼女に対する「査問」がおこなわれ、信介は仲間の男たちが一人の女性に暴力をふるうことに違和感をおぼえますが、そんな彼の甘さは仲間たちから糾弾され、さらに信介の監視から逃れた女子学生が仲間を引きつれて信介に復讐をおこなおうとし、彼は政治的な対立のなかに巻き込まれていきます。
舞台はふたたび東京に移り、信介のあたらしい生活がはじまりますが、織江をはじめとするヒロインたちとの交流はやや控えめとなり、学生運動のなかで葛藤する信介のすがたが中心にえがかれています。若干ストーリーが間延びしているような印象を受けてしまいました。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本の小説・エッセイ
- 感想投稿日 : 2022年4月14日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2022年4月14日
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