新免武蔵は本位田又八とともに、武士として名をあげることを夢見て、故郷の宮本村を飛び出したものの、関ケ原の合戦で落ち武者となり、お甲と朱実の母娘を頼ります。二人は、野武士の辻風典馬の襲撃からお甲と朱実を守りますが、お甲の色香に迷った又八は彼女たちとともに暮らすことをえらび、武蔵は一人で宮本村へと帰ります。
ところが、又八の母親のお杉は、武蔵が息子をそそのかして道を誤らせたと信じ込んで逆恨みし、武蔵を捕らえようとします。山に身をかくしていた武蔵は、宗彭沢庵の説得におうじて山を下りますが、沢庵は彼を千年杉に吊るし、おのれの未熟さに目を向けるように説きます。しかし、武蔵の身を案じるお通が彼を逃がすことに協力し、武蔵はふたたび村を出て、剣客として生きる道をふたたび歩み出します。
武蔵の人間としての成長をえがいている部分では、大時代的な教養主義の印象が濃厚で時代を感じさせますが、ストーリー展開がスピーディで現代でもエンターテインメント作品としてじゅうぶんにたのしめる内容だと思います。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本の小説・エッセイ
- 感想投稿日 : 2022年1月28日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2022年1月28日
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