キリスト教が国教化されたローマ帝国で皇帝の座に就くことになり、古代からのローマの信仰を復興させようとしたユリアヌスの生涯をえがいた作品です。
皇帝コンスタンティウスは、宮廷内で力をもつキリスト教徒たちの策謀に乗せられて、ユリアヌスの父を殺害します。ユリアヌスとその兄であるガルスは、幽閉生活を送ることになりますが、やがてユリアヌスは学問を志す青年ゾナスに出会い、彼の口から自分たちの身に起こった出来事の真相を知ることになります。
三巻にわたる長編作品ですが、ドラマティックな展開が多いので、勢いをつけて読み進めることができました。「背教者」ということばだけではうかがうことのできない、ユリアヌスがめざしたローマ帝国の統治の理念をえがくことが本作のテーマのひとつだと思うのですが、上巻では学問に打ち込むことでそうした理念をはぐくんでいった、ユリアヌスの青年時代が中心となっています。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本の小説・エッセイ
- 感想投稿日 : 2021年8月13日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2021年8月13日
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