日本人が話題にしたくない、無関心を装い、記憶にないことにしているタブーに正面切って挑戦した作品という印象を持ちました。俎上に載せたのは昭和天皇、石川達三、小津安二郎、阿川弘之、小林秀雄、丸山眞雄、埴谷雄高たち。実父がまず間違いなく南京大虐殺に関わったことを問い続けるなかで、先の彼らの行ってきたことや言説や作品は徹底的に非難されています。だが、それだけではなく、作者自身へもその批判の眼は向けられています。そして我々日本人へも。同じ実父を問うのでも、小熊英二著『生きて帰ってきた男』とは、まるっきり違います。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
思想関連
- 感想投稿日 : 2016年3月6日
- 読了日 : 2016年3月6日
- 本棚登録日 : 2016年2月20日
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