シフォン、リボン、レース、オーガンジー、フリル。。。
この歳になっても、そんなふわふわして綺麗なものが大好きだ。
キラキラのアイシャドウに、ほっぺたの真ん中にまんまるのチークをぽわんとのっけて
娘の参観日に出かけることはできないし、
リボン結びのひらひらワンピースで会社に出勤することもできないように
メイクや衣裳はどうしてもTPOに左右されるけれど、
誰に見せるわけでもないランジェリーでなら
いつでも思いっきり、夢のように美しい世界に浸ることができる。
第一話、両親に劣等感という棘を全身に植え込まれ、家に縛り付けられていた佐菜子が
初めて繊細で美しい下着を身に着けることで、しがらみからふっと解放され
「きれいな下着を身に着けると、自分がとても大切に扱われているような気がするの」
とつぶやくシーンに、涙が溢れた。
私は、亡くなった母とは特に仲が悪かったわけではないけれど、
好きなファッションや、映画や漫画に関してはまるっきり理解が得られなかったので
外国の童話に出てくるお姫様に憧れていた幼い日、
ワカメちゃんを上回るベリーショートの髪に、茶系のかっちりしたスーツで
ピアノの発表会に出され、こっそり泣いたことを思い出したりして。
人に美しさを誇示するためでもなく、男性の心を惑わすためでもなく、
自分の心と身体を大切に扱ってあげるために丁寧に作られたランジェリーが
思いがすれ違って隙間だらけなのに離れられない
母と娘、父と息子の間に送り込む風がやわらかく、清々しい。
教員一家に生まれ、「よりによって下着屋なんて!」と母に詰られながら
美しく繊細なランジェリーへの憧れを貫いて店を軌道に乗せ
同じように親との確執に悩むお客の心に寄り添う、オーナーのかなえが素敵で
きれいなものが大好きな女の子たち!
今日もお気に入りの美しいランジェリーで
密やかに、うっとりと、自分にリボンをかけましょう♪ と囁きたくなります。
- 感想投稿日 : 2012年11月18日
- 読了日 : 2012年11月17日
- 本棚登録日 : 2012年11月18日
みんなの感想をみる