「美しい」という言葉を結晶にして閉じ込めたような
北村薫版、千夜一夜物語。
ミッドナイトブルーにふわりと浮かぶ羽根が印象的な表紙カバーを捲ると
ひと昔前の洋書のようなノスタルジックな表紙が現れ、
目次に一色だけ追加されたスプリンググリーンのインクが
見開き2頁のプロローグ部分を贅沢に彩って。。。
そして、何よりも、そのインクで綴られた
北村さんの日本語の、端整な美しさ!
空想癖のある主人公に17人の語り女達が語る摩訶不思議な物語、
その1篇1篇に添えられた幻想的なイラスト、
そしてエピローグ部分を彩るクリムゾンのインクも
とにかくどこをとっても美しい。
「笑顔」 「海の上のボサノヴァ」 「体」
「水虎」 「梅の木」の5作が、とりわけ素敵だった。
特に、子猫と暮らし始めて、
命あるもの同士の血肉の通った触れ合いの中に
自分の存在を喜びをもって自覚する「体」は、
北村さんの過去の作品『水に眠る』の中の「くらげ」の
歌でいうならアンサーソングのような作品だなぁと思った。
独特の作品世界を味わうためにも
ぜひハードカバーで読んでほしい作品です。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
か行の作家
- 感想投稿日 : 2012年6月11日
- 読了日 : 2012年6月9日
- 本棚登録日 : 2012年6月10日
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コメント 4件
takanatsuさんのコメント
2012/06/11
まろんさんのコメント
2012/06/12
decoさんのコメント
2012/06/13
まろんさんのコメント
2012/06/13