ブクログ仲間さんたちにものすごく愛されていて、気になってしょうがないのに
図書館には例のごとく置いてなくて、古書店でも見かけたためしがなく
それほど「この本は私の宝物!」率が高いのだなぁ、と予想はしていましたが。。。
ほんとうに、巡り会えてよかった♪としみじみ思える本でした。
隣町の「月舟シネマ」に通い詰めるオーリィ君ではないけれど、
ゴトンゴトンとのんびり走る二両編成のかわいい路面電車も
アパートの窓から見える教会の白い十字架も
ガラスの向こうで流れるような手順で作られる、トロワのサンドイッチも
野球帽をかぶった少年となって口笛をふきながら銀幕を横切るあおいさんも
ぐつぐつ音をたてる鍋から、温かい湯気をたてて器に注がれるスープも
小さな映画館のスクリーンに映し出されるセピアがかった映像のように
温かく、柔らかく、目の前に浮かび上がるのです。
ハラハラドキドキするような事件は何ひとつ起こらないけれど
憧れ続けた銀幕の中の少女が、時をこえておばあさんになって現れても
変わることのない崇拝を胸に、シャツもジーンズもスニーカーも新調して
彼女を訪問するオーリィ君のように
スープの冷めない距離にいる(あるいは、いてほしい)誰かをいつも心に描きながら、
ささやかな日々の暮らしを大切に生きたいと思わせてくれる、素敵な物語です。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
や行の作家
- 感想投稿日 : 2012年8月22日
- 読了日 : 2012年8月21日
- 本棚登録日 : 2012年8月22日
みんなの感想をみる
コメント 4件
takanatsuさんのコメント
2012/08/23
まろんさんのコメント
2012/08/23
永遠ニ馨ルさんのコメント
2012/08/23
まろんさんのコメント
2012/08/24