杉田敦『政治的思考』岩波新書、読了。「決め方は決まっている 代表に任せればいい 正しい答えはわかっている 自分には権力がない 自由とは放任だ 国家など要らない 的が誰かは知っている」。本書はこれらと違う見方を示す。政治的に考えるとは何か。手垢にまみれた認識を一新する一冊。
決定、代表、討議、権力と自由をキーワードに通例と現状を検討し、政治にどう向き合うのかという「距離」を著者は提案する。多様なオプションを認めた上で、私たちが「変える」とは私たちが「変わる」ことへ認識の変化を促す。
おまかせ民主主義、ヒーロー民主主義でない選択は、全否定の短絡的帰結によって導かれるものではない。政治に不満や不信を抱く人、政治を諦めてしまった人に手にとってもらいたい一冊。著者の『思考のフロンティア 権力』(岩波書店)と併せて読みたい。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
デモクラシー
- 感想投稿日 : 2013年5月2日
- 読了日 : 2013年5月2日
- 本棚登録日 : 2013年5月2日
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