日暮らし 上

著者 :
  • 講談社 (2004年12月22日発売)
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感想 : 176
4

『ぼんくら』の続き。

 最後に焼け跡に立つ葵が続きを予感させたが、今回は、その葵が殺された謎を中心に展開される。
 その前に短編が4つ。おでこが自分はここにいてもいいのかと悩み、平四郎に「似顔絵扇子」事件で自分の役割を確認させられる話。葵の子どもの佐吉と妻のお恵の話。葵の生活とそこに女中として入ったお六の話。「子盗り鬼」の噂話がくっつく。そして、煮売屋お徳の側にこしてきて、安売り商売をはじめたおみねの話と、弓之助の親戚のおとよの「好き」という思いについて。
 これらはそれだけでも十分面白いが、そのあとの本編に重要なヒントを与えている。

 さて、あいかわらず、平四郎のひょうひょうとした姿勢が心地よい。そして、弓之助の賢さも相変わらずで、ついでにおねしょも。
 誰が葵を殺したのか。最初に何十年ぶりかに母親に思い切って会いに行った佐吉が現場にいて、下手人として逮捕されたことから、平四郎が乗り出す。
 湊屋の内情が明らかにされる中で、謎は深まるばかりだが…。葵の亡骸の部屋には良い匂いがしていた、という佐吉の証言が決めてとなり、弓之助のおつむりが動き出した。
 最後、また平四郎がぎっくり腰になってしまうのだが、ぜひ、また彼らの生活の中に浸らせてもらいたいと思った。
2007-06-06

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2015年4月16日
読了日 : 2007年6月6日
本棚登録日 : 2015年4月16日

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