この社会で戦う君に「知の世界地図」をあげよう 池上彰教授の東工大講義 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋 (2015年3月10日発売)
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安定の池上彰。
全15回の講義を書籍にまとめたもの。
以下は各講義のサブタイトル。
実は原爆を開発していた日本
世界地図から見える領土の本音
憲法を改正すべきか
紙切れをお金に変える力とは
悪い会社、優れた経営者の見分け方
経済学は人を幸せに出来るか
リーマンショックとはなんだったのか
君は年金に入るべきか
視聴者が変える21世紀のテレビ
オウム真理教に理系大学生がはまったわけ
アラブの春は本当に来たのか
大統領選でわかる合衆国の成り立ち
なぜ反日運動が起きるのか
金王朝独裁三代目はどこへ行く

特に、後半に位置する、中国と北朝鮮に対する解説は、個人的には非常にためになった。

中国では、建国から毛沢東が死ぬまでの間に、共産党に逆らったことで120万人もの人が殺され、その政策によって、飢餓が引き起こされて4300万人~4600万人が餓死していたなんて。今でも、共産党による人民の惨殺の暗い過去を隠ぺいするため、教育では自国の過失について一切触れない情報操作と怒りの矛先を外部に向かわせる情報操作。。。 思想の乱れがいかに人民に天災のごとく降りかかるかを考える良い章だったなとおもうし、今もそれを継続している事にある意味驚きも感じる。異常と思えるほどの情報規制はこういう過去の暗い歴史をあかされ、自身への責任追及を逃れるためと思われても仕方あるまい。(常に反対ばかりの日本の共産党も、もし政権なんてとってしまったら、思想的な圧力や、無策による不況とか、何をするかわからんという点では、危機意識を持った方がいいのかもしれない。)

北朝鮮の章では、独裁国家の異常性について、王制を自ら廃止したブータンを引き合いに対比的に表現していた。まさに、今日は、日本を超えてミサイルを太平洋に落とし、国内ではJアラートに対して悲喜こもごもなコメントが出ている。

この二国は、ロシア(ソ連)、レーニン主義に踊らされたといっても良いのかもしれないし、この二国の周りでうごめいた日本をはじめ、イギリス、ドイツ、アメリカなどの帝国主義的な思想の被害者といってもいいのかもしれない。。。

他国の人に、心を閉ざすのではなく、それぞれの国が、どれだけ心を開いて接することができるようになるのか?「知」は、「開く」ための道具なんだろうなと、皆が知を高めることで、乗り越えていかなければいけないのだろうなと思った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2017年8月20日
読了日 : 2017年8月29日
本棚登録日 : 2017年7月12日

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