1977年上半期芥川賞受賞作。タイトルは、何というナイーヴでプリミティフな問いかけだろう。これでは、思春期前期の問いではないか。読む前は、このタイトルからノンポリ学生の傍観者的な手記のようなものを想像していた。小説の冒頭はそんな風に始まるが、それ以降はなかなかに緊迫感に満ちた展開だ。あくまでもフィクションだが、読者もまた早稲田闘争の渦中にいるかのごとき臨場感に包まれる。たしかに甘いのだが(恋を絡めるからよけいに)「僕」の抱える煩悶は時代の抱えた状況をよく伝えている。ただし、エンディングは再びの幼児退行だ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
☆日本文学
- 感想投稿日 : 2014年2月11日
- 読了日 : 2014年2月11日
- 本棚登録日 : 2014年2月11日
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