他の読者の賛同は得られないかも知れないが、「完璧な病室」は姉と弟との近親相姦の物語である。少なくても、その気配を濃密に漂わせている。そして、S医師とのセックスは、かなわなかった弟とのそれの代償行為にほかならない。あるいは、むしろセックスを経験しないで死んでいく弟への献花といった意味があったのだろう。「わたし」にとっては、病室こそが完璧な空間であり、その対極にある日常は汚濁した空間であった。そうしたパラドクシカルな小説世界がこの作品である。「揚羽蝶が壊れる時」は、シュールレアリスムとの親近性を思わせる1篇。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
☆日本文学
- 感想投稿日 : 2013年9月25日
- 読了日 : 2012年12月10日
- 本棚登録日 : 2013年9月25日
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