ピエタ

著者 :
  • ポプラ社 (2011年2月8日発売)
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本棚登録 : 2304
感想 : 431
5

この本が話題になっていた当時は、全く食指が動かなかった。
18世紀?ヴィヴァルディ?ヴェネツィア?
それを日本人の作家が書いちゃうのか・・・。
変なのー、と。

あー、自分の浅はかさに腹が立つ。
もうね、最初のページからずっぽりタイムトリップ。
私もピエタの娘になった気分。
華やかな音楽がそこかしこに流れる都。
行った事もないヴェネツィアに思いを馳せ、仮面をかぶりカーニバルに紛れ込む私。なんて素敵。

それに登場する女性達の名前が良いんですよ。
エミーリア、アンネッタ、ヴェロニカ、クラウディア・・・。
イタリア人の名前っていいなぁ。
ロシアの小説に出てくる名前より断然ロマンチックな響き。
個人的な見解だけど。

それはさておき、この作品で最も私の心に響いたのは女性たちの姿勢。
孤児、娼婦、貴族。
どんな境遇にあろうともそれに折れることのない心の強さ。
まっすぐ前を向いて自分のあるべき場所で最善を尽くすその姿に共感を感じる。

この小説はファンタジーなのかもしれない。
巷で話題の“養護施設”の裏の部分も、血なまぐさい権力闘争も、汚い部分には蓋をされているのかもしれない。
仮面で隠された顔のように。でも、いいじゃないか。
仮面で隠しているうちにいつかはそれが真実になる日がくるかもしれない。そうありたい。

大島作品を読むのはこれが二作目。
舞台も設定もまるで違うが、前回読んだ「三月」とこの作品は本質的には変わらないと思う。
女性の生きる姿と、絆の強さ。
「むすめたち、よりよく生きよ」 
やっぱり、これで決まりですね!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 大島真寿美
感想投稿日 : 2014年2月7日
読了日 : 2014年2月6日
本棚登録日 : 2014年2月7日

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コメント 2件

メイプルマフィンさんのコメント
2014/02/07

私も、話題になっていた当時は、全く食指が動かなかったのですよ(あまのじゃくだから)。
でも、vilureefさんのレビューを読んで、私も絶対読もう!と思いました♪
初期の大島作品は割とふんわりした作風だったけど、
最近は深みを増してきて、読み応えありますね。この作品も楽しみです。

vilureefさんのコメント
2014/02/07

メイプルマフィンさん、こんにちは!

コメントありがとうございます♪
是非是非読んでください!
私にはど真ん中の作品でした。

そうなんですね、段々作風が変わってきているのですね!
私は最新作から読んでしまいましたから(^_^;)

お勧めあったら是非教えてくださいませ♪
次は「ゼラニウムの庭」を読みたいなと思っています。

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