この本が話題になっていた当時は、全く食指が動かなかった。
18世紀?ヴィヴァルディ?ヴェネツィア?
それを日本人の作家が書いちゃうのか・・・。
変なのー、と。
あー、自分の浅はかさに腹が立つ。
もうね、最初のページからずっぽりタイムトリップ。
私もピエタの娘になった気分。
華やかな音楽がそこかしこに流れる都。
行った事もないヴェネツィアに思いを馳せ、仮面をかぶりカーニバルに紛れ込む私。なんて素敵。
それに登場する女性達の名前が良いんですよ。
エミーリア、アンネッタ、ヴェロニカ、クラウディア・・・。
イタリア人の名前っていいなぁ。
ロシアの小説に出てくる名前より断然ロマンチックな響き。
個人的な見解だけど。
それはさておき、この作品で最も私の心に響いたのは女性たちの姿勢。
孤児、娼婦、貴族。
どんな境遇にあろうともそれに折れることのない心の強さ。
まっすぐ前を向いて自分のあるべき場所で最善を尽くすその姿に共感を感じる。
この小説はファンタジーなのかもしれない。
巷で話題の“養護施設”の裏の部分も、血なまぐさい権力闘争も、汚い部分には蓋をされているのかもしれない。
仮面で隠された顔のように。でも、いいじゃないか。
仮面で隠しているうちにいつかはそれが真実になる日がくるかもしれない。そうありたい。
大島作品を読むのはこれが二作目。
舞台も設定もまるで違うが、前回読んだ「三月」とこの作品は本質的には変わらないと思う。
女性の生きる姿と、絆の強さ。
「むすめたち、よりよく生きよ」
やっぱり、これで決まりですね!
- 感想投稿日 : 2014年2月7日
- 読了日 : 2014年2月6日
- 本棚登録日 : 2014年2月7日
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