チェルノブイリの祈り――未来の物語 (岩波現代文庫)

  • 岩波書店 (2011年6月16日発売)
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感想 : 114

1986年に起きたチェルノブイリ原発事故。これに遭遇したベラルーシの人々を中心に、その当時の状況、そして彼らの現在に至るまでの思いを、丁寧に聞き取り、伝え、問う。

簡単に、すらすらと読める内容では、決してない。この悲劇がもたらした傷跡を、痛み、苦しみを伴いながら追体験する。読了後にカタルシスを得られるものでもない。

それでも、多くの原発を抱える国に住む我々にとって、大きな示唆を与えてくれる。もちろん、そのような環境にいなくとも、この「人災」とも言うべき事故が引き起こした出来事、それにより言うなれば人生の方向をねじ曲げられた人々の叫びは、接した者の意識に、何らかの作用をもたらすだろう。

個人的に感じたのは、人類が自らの手で止められない暴走を引き起こし、多くの人の人生を蹂躙してしまうものを、我々は扱っていていいものか、という疑いである。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年9月24日
読了日 : 2023年9月24日
本棚登録日 : 2023年9月24日

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