1986年に起きたチェルノブイリ原発事故。これに遭遇したベラルーシの人々を中心に、その当時の状況、そして彼らの現在に至るまでの思いを、丁寧に聞き取り、伝え、問う。
簡単に、すらすらと読める内容では、決してない。この悲劇がもたらした傷跡を、痛み、苦しみを伴いながら追体験する。読了後にカタルシスを得られるものでもない。
それでも、多くの原発を抱える国に住む我々にとって、大きな示唆を与えてくれる。もちろん、そのような環境にいなくとも、この「人災」とも言うべき事故が引き起こした出来事、それにより言うなれば人生の方向をねじ曲げられた人々の叫びは、接した者の意識に、何らかの作用をもたらすだろう。
個人的に感じたのは、人類が自らの手で止められない暴走を引き起こし、多くの人の人生を蹂躙してしまうものを、我々は扱っていていいものか、という疑いである。
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- 感想投稿日 : 2023年9月24日
- 読了日 : 2023年9月24日
- 本棚登録日 : 2023年9月24日
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