蜘蛛の糸

著者 :
  • 青空文庫 (1997年11月10日発売)
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感想 : 25
5

ひょっとしたらこの話は、
彼の生きた時代の人たちを
暗に批判しているのかもしれない。

主人公である盗賊は、
我利我利のエゴイストであり、
強欲であったが、
人間らしい一面もあった。

しかし、
『お天道様が観ている』
といったような観念は無かった

ために、
苦しみの中
一縷の望みが見えたとき、
それにすがって助かることのみに
集中してしまった

もし、
この救いの糸が
なんらかの人間を超えた存在からの
贈り物であったと考えることができたなら、

ひょっとしたら
過去に自分がしてきたことを
振り返り、

なぜこれが『蜘蛛の糸』
であるかを考え、

か細い糸であるがため、
悩むかもしれないが、

"後からよじ登ってきた人たち"に、
も少しましな対応をすることが
できたかもしれない。

ちなみに
これと似た話は
世界各地にあるようで、

例えば
ギリシャ神話の
てんびん座の女神は、
人間が本来の善なる自分自身に
立ち返るのを
天界にて
じっと待っている、らしい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説・物語
感想投稿日 : 2023年1月21日
読了日 : 2023年1月21日
本棚登録日 : 2023年1月21日

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