百年文庫5冊目は「瞳」
収録は
ラニアン「ブロードウェイの天使」
チェーホフ「子供たち」
モーパッサン「悲恋」
この取り合わせは何なんだろう。いずれも初めて読む小説だが、共通点のようなものが見い出しづらかった。「子供の愛らしさ」を感じるということでいえばラニアンとチェーホフのものはそうだがモーパッサンのものは外れそうな気がするし、「まっすぐな思い」のようなものを想像すると今度はチェーホフのものが外れそうな気がする。いずれにしてもどれもかなり面白い短編であった。
特に惹かれたのはモーパッサンだろうか。「悲恋」は題名そのまま本当に悲恋である。フランス文学史をあまりちゃんと知らないが、モーパッサンも何かのカテゴリに入れようとすれば「写実」とかいった言葉が出てくるのだったろうか? 描き出し方が非常に上手いというか素晴らしいというかとにかく惹きこまれた。
ミス・ハリエットの心の中に宿ったものはやはり「恋」なのか。悲しい結末が「恋」という言葉にしっかりとした輪郭を与える名短編だと思った。モームの「雨」みたいなものを何となく思い出させる。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
アンソロジー
- 感想投稿日 : 2011年11月19日
- 読了日 : 2011年11月19日
- 本棚登録日 : 2011年11月19日
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