引越しをひかえ本を1/3に減らそうと整理するなか,10年近くぶりに手にとって再読.
10年前の当時,藤原新也のエッセイをむさぼり読むとまではいかないまでも,新書を何冊も買って読んでいたことがある.人生のいろんな別れや挫折を経験した,30歳当時.
それから10年いろいろあって,父親になり,ニッポンの社会という波でそれなりに船を漕ぎ続けてきた上で本書を再読して,あらためて,文字に書き落とせば当たり前の事実に思い当たった.
それは,写真も,写真やエッセイに変換される前の,旅先で脳裏に焼き付けられる風景も,それ自体は,明るくもなければ,暗くもなければ,悲しくもなければ,美しくもなければ,醜くもない.
エッセイを読んでいい文章だと思うかどうか,写真をみていいと思うかどうか,すべは読者がもつ記憶とその記憶を処理する心というか頭なんだ,ということ.
このエッセイは,そんな当たり前をあらためて確認させられるほど,藤原氏の「イメージ」センサーがときに敏感に風景に反応するさまが文字として綴られていて,それが魅力なんだということを思い出させてくれた.
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2018年8月30日
- 読了日 : 2018年8月30日
- 本棚登録日 : 2018年8月30日
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