「香り」の科学 匂いの正体からその効能まで (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社 (2017年6月14日発売)
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大学時代は一応理系だったのと、化学の基礎知識もあるので、流石に化学反応まで詳しくはないけれど、読んでいて面白かった。

以下、気になった内容。

プルースト効果という、香りにより記憶を思い出す効果は、実際に神経が嗅覚の場合、ダイレクトに脳の記憶を司る海馬や扁桃体に繋がるため起きる

アビセンナがアラビアで錬金術をしている中でバラからバラの香りを取り出す方法を見つけた、これがいまの水蒸気蒸留法
ドルトンの分圧の法則で、沸点が高い成分も水蒸気蒸留法にて分圧が効き、100度でも蒸発する事を応用

香料をとれる動物は四種のみ
マッコウクジラ、ジャコウジカ、ビーバー、ジャコウネコ
マッコウクジラはアンバーグリス 竜涎香
ジャコウジカ ジャコウ、甘く粉っぽい、ムスク
ビーバー 海狸香 頭痛や発熱などの治療に使われていたが、薄めるとジャコウのようになる、シャネルのアンテウスなどに利用
ジャコウネコ ジベット 薄めると良い香り、シャネルのNo5

匂いを感じる時は、嗅覚受容体に匂い分子が結びつき、Gタンパク質共役型受容体に連絡され、GTPと結合して酵素の働きを起こして伝達される
嗅覚受容体遺伝子は821個あり、そのうち396個が実際に機能している、つまりこの組み合わせが香りである
しかし、アフリカゾウは1948個遺伝子が存在、他の生物にはより嗅覚が重要

世界共通の香り分類
Floral fruity sweet honey anise citrus aromatic balsamic green woody mossy early minty herbal spicy marine leather amber musky animalic powdery aldehyde

炭素原子8〜10が心地よい香りと感じる分子

シスジャスモンとトランスジャスモンは、メチル基が逆の光学活性体の違いだが、前者はジャスミン、後者はキノコの香りがする

天然物化学という、自然界にあるものをそのまま化合物として抽出する分野があり、日本はその第一人者。その中で、天然の香りを人工的に作る研究がなされている。
各国やブランドで香りは合成されているが、ニトロ基をもつものが以前使われて肌への刺激が問題になったり、一世を風靡する香りの成分が実は毒性が強いなどの歴史がこれまで起きている。しかし、自然由来なら毒性が低いというわけではない。

1937年にガットフォセにより提唱された芳香療法がアロマテラピーの始まり。
リナロールが血圧を下げる研究 2006 永井ら
ローズマリーカンファーとレモンの香りを6高度アルツハイマー病患者に嗅がせて認知症評価法を試したところ、明確な改善がみられた 2008神保ら
アロマテラピーについても、より定量的な研究で効果を立証していく必要がある

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2017年9月25日
読了日 : 2017年9月25日
本棚登録日 : 2017年6月18日

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