ノルウェイの森 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2018年12月7日発売)
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本棚登録 : 1729
感想 : 81
4

初、村上春樹。友人達から、全く意味がわからないとか、難しいとか聞いてきたので敬遠していたけど、ノルウェイの森は読みやすいと聞いて、チャレンジ。

結果、読めた。出てくる人物たちが皆何をするかわからない性格のため、何が起きるのか気になって読んでしまった。結局、何が直子をそこまで追い込んだのか、私はよくわからなかった。でも彼女はきっと、「私はもうダメなの、なにか壊れてしまって、バラバラなの」とか思っていたんだろう。そんな女だからこそ、男性は惹かれるのだろう。

とにかく、みんな暗い。主人公のワタナベも、自殺するキヅキと直子も、繊細すぎて社会に適応できず、自分の中に閉じこもりながら、結局誰もきちんと愛することができない、自分が大事な人間たちだ。ただ、誰しもが持っている片鱗を、ものすごく誇張して表現しており、ある種、えぐみがある。そして思春期から大人になるタイミングだからこそ、その体と精神の歪みが象徴的に思えた。

上巻を読んだ後は、しばらく直子という女の、とてつもなく自分勝手で、感情的で繊細なキャラクターは、女の象徴に思えて、大嫌いだった。でも、どこか母に似ていて、そして私も持っている部分があって、苦い気持ちになった。

読んでいて思うのは、結局自分の想いを周囲にきちんとぶつけられる、緑のような健康的な人間たちは生きていけて、それがうまくできなかったり、相手に期待できなかったり、自分の殻の中にいると、おかしくなってしまうのかもしれない。

また読みたいか、と言われたら、もう読まないだろう本。
暗いし、辛い。でも、村上春樹が好きな人はなぜ好きなのか、少しわかった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2019年5月9日
読了日 : 2019年5月8日
本棚登録日 : 2019年3月9日

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