初、村上春樹。友人達から、全く意味がわからないとか、難しいとか聞いてきたので敬遠していたけど、ノルウェイの森は読みやすいと聞いて、チャレンジ。
結果、読めた。出てくる人物たちが皆何をするかわからない性格のため、何が起きるのか気になって読んでしまった。結局、何が直子をそこまで追い込んだのか、私はよくわからなかった。でも彼女はきっと、「私はもうダメなの、なにか壊れてしまって、バラバラなの」とか思っていたんだろう。そんな女だからこそ、男性は惹かれるのだろう。
とにかく、みんな暗い。主人公のワタナベも、自殺するキヅキと直子も、繊細すぎて社会に適応できず、自分の中に閉じこもりながら、結局誰もきちんと愛することができない、自分が大事な人間たちだ。ただ、誰しもが持っている片鱗を、ものすごく誇張して表現しており、ある種、えぐみがある。そして思春期から大人になるタイミングだからこそ、その体と精神の歪みが象徴的に思えた。
上巻を読んだ後は、しばらく直子という女の、とてつもなく自分勝手で、感情的で繊細なキャラクターは、女の象徴に思えて、大嫌いだった。でも、どこか母に似ていて、そして私も持っている部分があって、苦い気持ちになった。
読んでいて思うのは、結局自分の想いを周囲にきちんとぶつけられる、緑のような健康的な人間たちは生きていけて、それがうまくできなかったり、相手に期待できなかったり、自分の殻の中にいると、おかしくなってしまうのかもしれない。
また読みたいか、と言われたら、もう読まないだろう本。
暗いし、辛い。でも、村上春樹が好きな人はなぜ好きなのか、少しわかった。
- 感想投稿日 : 2019年5月9日
- 読了日 : 2019年5月8日
- 本棚登録日 : 2019年3月9日
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