火の鳥7

著者 :
  • 朝日新聞出版 (2009年8月20日発売)
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『火の鳥 乱世編』
■背景……執筆時期;1978~80年/時代設定;12世紀/舞台;日本。
■梗概……飯盛山に住むきこり弁太とおぶうは深く愛しあっていた。ある日弁太が京に上がった際、路上に落ちていた貴族の美しい櫛を拾って持ち帰りおぶうにプレゼントする。おぶうはそれを病気の父親の薬代として手放すのだが、櫛はそこから盗品としてアシが付き、おぶうは捕らえられて都に連行される。弁太はおぶうを救い出すため京へ向かう。その後、数奇な運命に導かれるまま、おぶうは平清盛の側室となり、一方弁太は源義経の家来となる。
――ふたりが再開するのはそれから8年後、場所は壇ノ浦の海上、おぶうは安徳天皇同舟のふなべりから、弁太は平氏の残党を追いつめる源氏方の舟のへさきからであった………。
■見どころ……赤兵衛(猿)と白兵衛(犬)のくだりはさすが。動物を描かせたら手塚先生の右に出る者はマジでいない。/鞍馬山で”テング”と呼ばれている怪僧の正体とは……?/永遠の命が得られるという火焔鳥(実は単なるクジャク)をめぐるエピソードが繰り返し描かれ、登場人物が多いこの長編をとっちらからないように上手にまとめている。/見開き2ページを使って、豊年まつりの真上からの生き生きとした描写がある。/おぶうの美しさは反則級。しかしチビでぽっちゃりで短足のヒノエもけっこうかわいい。/火焔鳥だけで今回火の鳥は出てこない…と思っていたら最後に感動的に登場、物語を締めくくってくれる。
■死……かつては親友であった赤兵衛と白兵衛はお互いの体を咬みあいながら血まみれのひとつの肉塊と化して死ぬ。/豪傑、木曽義仲は戦争孤児のヒョウタンカブリに弓で射られあっけなく死ぬ。越中盛俊(実はヒョウタンカブリの実の父)もヒョウタンカブリに一突きされ死ぬ。しかしそのあとすぐ、今度はヒョウタンカブリが旧知の仲間の義経に切られて死ぬ。/おぶうは弁太の目の前で義経に切られて死ぬ。/義経は結局、弁太によって丸太で頭を突き潰されて死ぬ。/ヒノエをおぶって追討軍から逃げる弁太。ふたりのからだに無数の矢が突き刺さる。/我王が夕日を見ながら大往生する。我王の最後の言葉「おう……鳳凰がむかえにきてくれたよの……」。
■セックス……ヒノエはセックスしたあと、男の持ち物を盗んで逃げるという奇癖がある。
■総評……時は俊寛らが平氏に謀反を企てるところから義経が平泉で横死するまで。史実に沿って描かれる大河まんがの傑作。むちゃくちゃに面白い。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: マンガ・アニメ
感想投稿日 : 2021年12月21日
読了日 : 2021年12月21日
本棚登録日 : 2021年12月21日

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