雪のふりしきる街路、友人の遺品を持って誰かと待ち合わせしている兵士、彼を案内する少年・・・一応の表面的なあらすじを辿ることも不可能ではないけれど、基本的にはタイトルどおり、ひたすら不毛な迷路をぐるぐるさせられてしまった感のある作品。一応迷路に出口はある(オチらしきものはつく)けれど、出口だと思ったら入口に戻ってただけだった、のかもしれず・・・。
思い出したのは金井美恵子の「柔らかい土を踏んで」。ただあちらは、コラージュ的な印象が強かったのに対し、こちらは螺旋構造の印象。あれさっきここ通らなかったけ?と思うのだけれど微妙に違う、何度も同じ場面が出てくるようで物語は一応進んでいる。少し消しては新しい情報を書き足して・・・という、なんだろう、三歩進んで二歩下がるみたいな(苦笑)
絵の描写と現実がごっちゃになっていったり、ドアを開けると違う場所に出たり悪夢感も強いのだけれど、実は小説の「書き手」(主人公の兵士ではなく)の試行錯誤の過程までをそのまま文章にして垂れ流しているだけなのかもしれない。
奇妙で難解だけど、好きか嫌いかといえば好きでした。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
★フランス 他
- 感想投稿日 : 2014年12月22日
- 読了日 : 2014年12月20日
- 本棚登録日 : 2014年11月4日
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