「あやめ」「鰈」「ひかがみ」という、少しずつ連鎖する3つの短編からなる作品集。まず「あやめ」では主人公が最初の数行で事故死してしまっているのに、その自分の事故現場を後にしてふらふらと歩き出した当人(霊魂のようなもの?)が、友達に電話したり、幼なじみと再会したりしながらいつまでもブラブラしているし、「鰈」の主人公は、酔っ払って電車に乗ったまま、同じ時間をぐるぐるし続け、「ひかがみ」の主人公もまた、死んだはずの妹が今もずっと部屋で寝ている家で、同じ時間を行ったり来たりしている。いずれも自分が死んだことに気づかず、生きていた頃と同じ生活を送り続けてる人のようでもあり、そもそも生きているということ自体が、そんな夢だか死後だかわからないような世界なだけかもという不安感もあり、とても不思議な世界でした。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
>ま行
- 感想投稿日 : 2012年9月4日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2012年7月27日
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