ぼくは猟師になった (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2012年11月28日発売)
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感想 : 87
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「自分で食べる肉は自分で責任を持って調達する。」それ以上でもなくそれ以下でもない。
ロハスやスローライフの実践ではない、という力の抜け具合が新鮮で、また、好みのわかれるところ。
私は、充分アリだと、読み終えて感じた。
うん、その、野菜や魚類と違って「哺乳類や鳥類を捕まえ処理して食べる」という営みは臭く重く生々しい。
スーパーでパックに入っている状態の肉は物質として扱えるのに、生きている状態から殺し血を抜き皮を剥ぎ肉を切り取るとなると別世界。
食べる時は美味しいと歓声をあげるのに、殺す時にはかわいそうと言う。
他の命の上に私の命があるということを、テレビのドキュメンタリーほど偽善的でもなく、尾ひれのついた噂話ほど無責任でもなく、宗教や哲学ほど観念的でもなく、程よい手触り感覚さで示してくれる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2013年1月22日
読了日 : 2013年1月22日
本棚登録日 : 2013年1月17日

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