凍りのくじら (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社 (2005年11月8日発売)
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本棚登録 : 2676
感想 : 472
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自分の個性を「少し・不在」と定義する女の子のSF(少し不思議)なお話。
冷たい校舎~に引き続き、このお話も少女の内面がしっかり掘り下げられてて、その成長もゆっくりと丁寧に描かれています。

理帆子にも若尾にも自分の中に通じるところがあって、読みながら地味にダメージを受け続けましたヨ…。
みんなと自分は違う、みんなの中にいてもどこか覚めた目でその中にいる自分を見ている。
そういうとこ、ちょっとわかります。
一生懸命に生きてる実感がする人が眩しくて、気後れしてしまう気持ちも。

自分だけが頭が良い、人とは違う、理帆子はそう思って周りのみんな少し馬鹿にしているけど、それでも周りの人たちはみんなどうしようもないほど理帆子を愛している。
写真集に添えられたお母さんの言葉に泣き、
郁也が理帆子のために彼女が一番好きなドラえもんの曲を練習していたことに泣きました。
理帆子がみんなのことを好きだったと認めたラストシーン、良かったねえ…。

別所くんの正体は途中で何となく勘付いてはいたけど、写真撮ってるのが誰かわからない描写は読んでてちょっともどかしかったなあ…。それだけが難点か…。
でも、彼がドラえもんの道具を真似して理帆子を救ってくれたラストはすごく好きです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2012年11月18日
読了日 : 2012年11月18日
本棚登録日 : 2012年11月17日

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コメント 3件

猫丸(nyancomaru)さんのコメント
2013/01/18

「その成長もゆっくりと丁寧に描かれています」
それが、とっても素敵ですね。

柳。さんのコメント
2013/01/22

コメントありがとうございます!
辻村さんは心理描写がものすごく丁寧なところが魅力ですよね(*´▽`)

猫丸(nyancomaru)さんのコメント
2013/01/28

「心理描写がものすごく丁寧」
そうですね、抑えられた色々な感情が、無理なく納得出来るのが素晴しいですね。。。

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