ヘンな論文

  • KADOKAWA/角川学芸出版 (2015年3月26日発売)
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本棚登録 : 849
感想 : 91
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・世間話の研究
・公園の斜面に座る「カップルの観察」
・「浮気男」の頭の中
・「あくび」はなぜうつる?

などなどの珍論文の内容をお笑い芸人の方が紹介をしている本。

これらの題は、論文の正式名称ではない。
たとえば
・「おっぱいの揺れ」とブラのずれ
という題の論文の正式なものは
「走行中のブラジャー着用時の乳房振動とズレの特性」
わかりやすい題にして、とっつきやすくしてある。

内容は、これらの論文のキモの部分を感想を交えつつ、軽いタッチで書かれている。しかし、研究というものに対する向き合い方はとても真摯で、好感がもてる。
「断定口調は、論文では滅多に使われない。自分の主観で判断せず、出てきた事実からたどり着いた結論、という意味で「だと思われる」を使うし、立場をフラットにする意味で、いいとか悪いの判断はしない。それを「いったいなにが言いたいんだ」なんて断じるのは暴力でしかない。人の話を聞けない、頭を使わない人の一方的な主張だ。」
論文の改竄やコピペも厳しく批判していて、研究者に対する尊敬とあたたかな眼差しを感じる。

珍論文は、身の回りのことへのちょっとした問いから始まる。寺田寅彦の大量の随筆が、そのような性格を持っていたように、身の回りには不思議が満ちている。

珍論文を楽しみつつ、学問とは何かということに触れることのできる楽しい本だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年12月25日
読了日 : 2023年12月25日
本棚登録日 : 2023年12月25日

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