肝臓先生 (角川文庫クラシックス さ 2-4)

著者 :
  • KADOKAWA (1997年12月1日発売)
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本棚登録 : 488
感想 : 51
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坂口安吾の代表作「堕落論」につながるネタと思われる戦時中の体験や思想などがわかりやすい文体で書かれていて興味深い。(「魔の退屈」)「堕落論」読後に再読するとさらに安吾の思想が解る気がする。
小編「私は海をだきしめていたい」)の冒頭が良い「私はいつも神様の国へ行こうとしながら地獄の門を潜ってしまう人間だ。ともかく私は始めから地獄の門をめざして出掛ける時でも、神様の国へ行こうということを忘れたことのない甘ったるい人間だった(後略)」
坂口安吾はずるくて弱い。しかし、そのずるさと弱さを隠さない正直さが、戦後の思想的に圧迫された若者達に圧倒的な支持を得たのだろう。
そして私も、「ずるくて弱い」と知りながら安吾の生き方に憧れてしまう一人です。

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感想投稿日 : 2007年3月10日
本棚登録日 : 2007年3月10日

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