上場企業で働いていると普段から「株主への配慮(利益還元)」と言われているのでピンとこないのですが、上場していない企業にとっての決算書はこの本の著者である大村氏が述べているように、数種類の決算書があるようです。
税金を払う時のベースになる税務署用のもの、資金を借り入れるために見せる銀行用、本来の業績を把握する経営者用の3つです。賢い経営者はそれらを上手に経営に活用しているようです。
以下は気になったポイントです。
・決算書をどういう目的で作るのかを明確にしておくことがポイント、税金を安くしたいのか、業績を良く見せたいのか、正確な儲けを知りたいのか(p17)
・固定資産の償却限度額は、毎年その額を経費化しなくてはいけないのではない、償却限度額以内であれば、いくら経費化してもよい(p37)
・経費に計上できるのは、その年に売ったものだけ、数式では、「売上-仕入(経費)+在庫=利益」である(p42)
・リース業の場合は、電化製品を購入しても、それは「仕入れ」ではなく「備品」扱いになる、また一つ一つが安いので資産計上(一年以上にわたって使用可能)する必要もない(p44)
・返済した借金を返済という形をとらないようにするには、報酬という形をとる、勤務関係の形式(所得税の源泉徴収、社会保険等)は必要になる、これができるのは個人から借りた時で親族などは対象外(p53、54)
・売り上げ計上基準には数種類あり、出荷基準、到着基準、検収基準がある、順に売り上げ計上が遅くなる(p66)
・棚卸の評価方法には、原価法や低価法がある、選択した評価方法は事業年度が始まるまでに税務署に書類を提出すれば、原則として3年たてば変更可能(p76)
・売り上げを増やすために、知り合いの会社と共謀して、お互いに架空の仕事を発注し合う(p85)
・税務署はまず儲かっている会社に目を付ける(p102)
・生命保険の節税商品は解約返戻金をもらった場合には、会社の収入として計上する必要がある(p134)
・役員報酬はいったん決めると上げられない、低めに設定すると思
ったより儲かった時は税金がかかる、売上が上がらな買っときは未払い金にするか、役員報酬を下げる(p140)
・社長の役員報酬を高めに設定しておいて、一部を小規模共済にまわせば(年間84万円)、会社の税金も社長個人の税金も減らすことができる(p146)
・平成10年の税制改正で、退職給与引当金の制度がなくなり、退職金を積み立てることができなくなった、そのため退職金を廃止する会社が増えた(p157)
・個人的に使うテレビやビデオも、業務で使っていれば会社の経費で落とせる、そのためには実績を残しておくことがポイント(p175)
・視察という名目があって、それなりの証拠が残っていれば、旅費も経費で落とせる、でも社長一人は認められないだろう(p180)
・夜食代として会社が従業員に支給するのではなく、会社が自前で食事を用意したり出前を取るのはOK(p183)
・昼食代の場合は、従業員が半分以上払う、月3500円以内であれば認められる、但し現金支給は認められない(p185)
・福利厚生費は社長一人でやっていても、家族だけでも認められる、注意するポイントは一部の社員のみが対象になっているときは不可(p190)
2011/7/10作成
- 感想投稿日 : 2011年7月10日
- 読了日 : 2011年7月10日
- 本棚登録日 : 2011年7月10日
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