蝶々の纏足・風葬の教室 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1997年2月28日発売)
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感想 : 467
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憎しみって感情はすごく魅力的。
憎しみに突き動かされてどんどん魅力的に進化していく少女たちに魅せられてしまいます…

「アンタ達とは違うのよ」と思った時に「女の子」から大人の「女」に変わるのかな。
早熟な子は周りとタイミングがズレてるから余計に強くそう思うんだろうな。

10代〜20代前半って「友達だよね」って言いつつも心の底では「負けたくない」って思ってたし、自分と違うタイプの子とかミーハーな子を馬鹿にしてたけど、
20代後半からは色々と受け入れられるようになってきて「みんなちがってみんないい!」って心から思えるようになってきて、
遂に30代になると若い女の子たちに対して「みんな可愛いなあ。がんばれ〜!」って思える…

個人的には、若いときの自分に戻りたいって全く思わない。気を張ってて疲れるし、痛々しくて…
でも成熟途中のあの人生で最も(見た目が)美しい時期ってトゲがあるから美しいのかな〜なんて思ったり。
憎しみが作り出す美しさって、愛情が作り出す美しさとまた別の美しさで、あやうい感じがするから余計惹かれちゃうのかも。

女性って生理、出産、更年期、閉経とかで身体が分かりやすく変わるから、男性よりも余計にそういう進化段階みたいなのが意識させられちゃう。(男性ってどうなんだろう?永遠の少年みたいな人ってやっぱりいるのかな?)
もう一段階前の自分には戻れない寂しさもあれば、進化していく喜びもあるし。
どの段階の自分であっても今を楽しんでいたいなあとは思うし、そういう女性はやっぱり素敵だと思う!

話がずれたけれど、「思春期の女子のあやうい魅力にやられた!」っていう話です。

「蝶々の纏足」では主人公の瞳美がえり子への憎しみを糧に、女としての魅力を纏っていく話で、それだけでもう十分面白いのに、最後実はえり子は…っていうところで更に畳み掛けてくる…
少女たち、闇抱えてる…

「風葬の教室」はいじめられて自殺しようとしていた杏がふと聞いてしまった母と姉の何気ない会話によって「生きなきゃ」って思うシーンがすごく好きで、
母と姉の会話もむしろ下品なレベルの会話なんだけど、そういうところにこそ自然と存在する家族への愛情みたいなのも良いし、
それを聞いて「生きなきゃ」って「責任」に昇華できる杏もすごいし、
そんなこと経験したらクラスのいじめっ子たちなんて屁でもないなって。
杏が進化した瞬間は感動的でした。
そしてお姉ちゃん…カッコいい…めっちゃ好き。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年7月9日
読了日 : 2021年7月6日
本棚登録日 : 2021年7月6日

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コメント 1件

workmaさんのコメント
2021/12/26

ゆきのさん
「風葬の教室」いいですよね!教科書に載せてほしい!ってくらい、いじめなど人間関係に悩める生徒さんに おすすめですね

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